心霊写真を見たことない人はいないだろう。
僕は根っからのオカルト好きで心霊写真や心霊動画に目がなかった。
所謂”本物”ってやつを何回も見せられてその度に「むむむ」と唸ったりした。これはもしかすると本物かもしれない…ここまでハッキリと写真に映るのか!?とかさ。
そんな感じで写真や動画をあーでもないこーでもないが楽しい。もしかすると…いやぁ…さすがにインチキだよ。とかなんとか。
幽霊は写真と動画が発達した現代社会だからこそお目にかかれるのであって、写真や動画が無い時代は何で幽霊を認識していたのだろうか?
絵だ
絵に書いてこの世の恐ろしい物を書き残していたのだ。思い浮かぶ四谷怪談のお岩さんは目が潰れ恐ろしい女性の絵としてみんなの心に残っている。柳の樹の下で足のない女性の幽霊なんか典型的。
グジャグジャに謎った何かだ。
これが子供にとっては絵らしい。
僕ら大人からみるとただの落書き以下のグジャグジャの何か。
この絵を書いたのは僕の甥っ子で、↑の絵は何なの?と尋ねると
「幽霊!!!」
と力強く答えた。
えっ????これが幽霊!?
どうみても幽霊じゃない。僕らが思い浮かぶ幽霊はあくまで人型だ。人の形をした恐ろしい形相や血まみれだったり身体の一部が欠損してたり…そういうのが幽霊だと思ってた。
僕は一回も幽霊を見たことないのに
子供ってのは純粋で見たもの聞いたことが全て新鮮に映る。甥っ子が幽霊を見たかわからないが、甥っ子の幽霊は↑なのだ。
昔、保育園児が母の日にちなんで母の絵を書いて展示しているのを見たことがある。
ほぼ、上記のグジャグジャで母の絵は占められていた。
保育園児にはお母さんが
グジャグジャした何か
に見えているのだ。グジャグジャした何かが保育園児を迎えに行く様子を想像すると頭おかしくなりそうだが、実際に描かれているのはグジャグジャ母だし、保育園児から見た母はグジャグジャ母だ。いっさい嘘はついてない世界。
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絵の技術や絵の勉強とか才能とか子供には全く必要ない。なぜなら自分たちでクレヨンやペンを手に取り思いのままに描きまくる。その行為が絵じゃなかったら絵とはなんだ?僕達は成長するにしたがって、人の絵を書く時は顔があって身体があって~と教わる。教わってみんなもそんな風に書くからどうしたってみんな同じような絵になってしまう。
もし誰からもグジャグジャの絵を注意されずに思いのまま書かせてみたらどうなるんだろう?二十歳にもなって誰かの似顔絵を書く時にもっと高度なグジャグジャした絵が見れるとしたらそれは奇跡なんじゃないだろうか?
原始の絵。誰にも影響を受けなかった自分だけの絵だ。
ここで、俗世に染まりまくって歪んだ大人代表の僕が書いた幽霊を紹介する。
これの何処が幽霊なんだよ!!!!
人型すらしてないぞ!ねないこだれだの模写じゃないか。しかも下手くそな。
こんな幽霊を書いてしまった僕は自分の絵に絶望を感じていると、原始の絵をもった甥っ子に
こうされた。
曰く、「大きい透明な幽霊が真ん中の奴を食べている」
らしい。
発想のスケールで負けた。
大きい透明な幽霊!?今まで想像したこともなかったし透明な幽霊を書く時点でやばすぎる。僕たちは勝手に幽霊は人型で~ってイメージに囚われすぎている。
大きい透明な幽霊だっているかもしれない。幽霊は幽霊を食べるかもしれない。
固定観念って奴を持たないつもりでいたが、まんまと気付かされた。
心霊写真や動画を狙ってとる事はできないが、絵に書くことはできる。お子さんがいる人は幽霊の絵を書かしてみて欲しい。きっとそのグジャグジャした幽霊はあなたの家にいるのだ。僕はこれからグジャグジャ幽霊以外は幽霊と認めない事にする。だから現段階の心霊写真や心霊動画は全てインチキだ。グジャグジャ幽霊だけが幽霊なんだから。
きっとこの世界には子供達しか見えてないグジャグジャ幽霊がウヨウヨしているのだろう。