タコの卵

どこまで我慢するのが身近な恐怖なのか

ボイルセーイカ下足と夏とおじさん

今週のお題「夏を振り返る」

 

振り返られる夏を過ごした人がお題を設定してブログを書くだろうか??

書かない。振り返る夏を過ごした人はブログを書く時間で、家族や友人や恋人と秋の予定を話し合ってる可能性がある。

 

じゃあ振り返られない夏がなかったか?と言うとそんなことはない。

沖縄のおじさんにだって夏を振り返る権利はある。

なので振り返ってみる行為としてスマートフォンの写真を見る。

 

f:id:tettyagi:20190906154257j:plain

左はオートミール

右はボイルセーイカ下足(刺身用)

 

写真を見る限り8月22日前後に食べた記録だろう。

 

 

夏本番だ。

 

沖縄の夏。常夏の楽園。青い空に白い砂浜。刺すような日差し。

何を言葉で言っても沖縄の夏に勝てる夏はない。

二十歳前に朝まで遊んで朝マックしている時に

 

「俺さ…離島行ったことないんだよね」

「俺も!じゃあみんなで行ってみようぜ!」

「いつ行く???」

「明日いく?????」

「行ってみようぜ!!」

 

そんな会話をして実際に次の日には船に乗って離島に行った。

堤防で釣りをして魚を焼いて食べる。気がついたら海が満ちていて帰り道がなくなる。

じゃんけんで負けた人が泳いで水を買ってきたりした。

夜は真夏なのに凍えるぐらい寒く、肩を寄せ合って横になった。

もういいよ!ってぐらい流れる流れ星に感動したし、ビーチで海の透明度に驚いた。

初めての離島がいきなり壮絶サバイバル。これが夏だと叫びたかった。

 

 

月日は流れ2019真夏。

昼にクーラーの聞いた部屋でボイルセーイカとオートミールを食べるおじさんになっていた。

 

 

明日離島行く??って言われても行かない言い訳は無限に出てくる。

 

 

なんてつまんない人間になってしまったんだろう。

夏の思い出を振り返りながらボイルセーイカを食べる。

f:id:tettyagi:20190906162346j:plain

醤油をかけた。

 

なんでボイルセーイカ下足を買ってしまったんだろう。

めちゃくちゃ食べたいわけではない。イカは好きだがボイルセーイカは硬い。ちょっと食べるぐらいならいいが、1パックまるまる一人で食べるもんじゃあない気がする。

 

f:id:tettyagi:20190906162459j:plain

つまようじで食べる。

 

軟骨部分があって硬い。

味はしょうゆ味のイカだ。硬いし食べごたえは抜群だが感動する美味さはない。

離島で見た満天の星空に比べたらおじさんのお腹ぐらいの美味しさだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

どこで何がどうなって昼にボイルセーイカ買って食べてるんだろう。

しかもビールも飲んでない。オートミールと一緒にだ。

予想できるか??

真夏は毎日遊びに行って日焼けして、朝まで遊んで酒飲んで遊びまくった夏。そんな夏が、昼間にボイルセーイカ食べてる2019年夏になるなんて誰が想像できる!?

 

f:id:tettyagi:20190906162848j:plain


2019年夏にボイルセーイカのアップ画像見たことある???

 

 

 

美味しさは夏味だ。

 

夏は人を大胆にもするが、センチメンタルな気持ちにもさせる。

発想のスケールで負けたくない。そう思いながらもボイルセーイカ下足を不味くもなく美味くもなく噛む。いっぽうオートミールは柔らかい。食感が真逆で変な気分だ。

 

 

食べ終わった後は顎をたくさん動かしたせいか不思議な満足感があった。

ただし疲労感はない。達成感もない。努力した後に訪れる不思議な満足感もない。

 

このブログを書きながら変わるんだ!!!

俺だっておじさんだけど気持ちは若い!!!!離島??すぐ行ってやるよ!一人でも行ってやる!

 

力強く書いてもブログ内ポーズだけで、実際には行かない。

夏の葬列のようなトラウマもない。本当は行きたい。離島に誘ってほしい。夏は外にでかけてドラマのような痺れる行動がしたい。

ボイルセーイカを毎日食べるって言う逆に痺れるようなことじゃない。

誕生日が来るたびになぜかつらくなる。だけど、いつもは考えないようにしている。

 

毎年夏はくる。毎年ほとんど夏はくる。

 

2020年の夏はどうする???離島に行ったからこの虚しい気持ちとさよならできるのか!?あるいはもっとショッキングな出来事がないと”夏”じゃないのか!?

 

夏に何かを求めない。夏になにかしないと夏じゃないと思わない。

夏は夏でしかない。9月になった今でも自分が胸躍るようなチャンスはいつだってある。やるしかない。本当はやりたいことはいっぱいある。

やらない言い訳を並べるおじさんはやめて、勇気をもってセーイカを捕まえに行くしかない!!!

セーイカを捕まえてボイルじゃなくて生で食う!焼いて食う!それこそ自らボイルする!!!セーイカを必ず捕まえて食べてやる!

 

今しかないわけじゃあない。だけど終わった後はすごくハッピーな気持ちになることをする。それが昼ごはんにボイルセーイカとオートミールを食べる事とは思わない。

もっとギリギリの。セーイカの思いを考えながらボイルセーイカを食べる人間的行為を!!!

昔の本当に楽しかった真夏の思い出を「本当はそんなに楽しくなかったんじゃ?美化してるだけ??」とか思わないように!!!!

 

 

 

 

 

 

そんな夏を思い出す。

そこにはただボイルセーイカ下足を食べ終えたおじさんが夏にいた。