必読書「殺人犯はそこにいる」は「文庫X」としてブレークし、多くの人が読んだ作品だ。
5人の少女が姿を消した。群馬と栃木の県境、半径10キロという狭いエリアで。同一犯による連続事件ではないのか?
なぜ「足利事件」だけが“解決済み"なのか?
執念の取材は前代未聞の「冤罪事件」と野放しの「真犯人」、そして司法の闇を炙り出す――。新潮ドキュメント賞、日本推理作家協会賞受賞。日本中に衝撃を与え、「調査報道のバイブル」と絶賛された事件ノンフィクション。
北関東連続幼女誘拐殺人事件として
Wikipediaにも書いてあるのでまだ読んでない人は見て欲しい。
そして「殺人犯はそこにいる」を読んで欲しい。
殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―(新潮文庫)
- 作者: 清水潔
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/11/18
- メディア: Kindle版
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桶川ストーカー殺人事件もWikipediaにあるので、是非とも読んで本も読んで欲しい。
この2つの事件の共通点は何か?いずれも警察や司法のずさんな現状を暴いていた。
適当な情報で捜査する警察。絶対に謝らない検察や裁判官。犯人を適当にでっちあげ冤罪事件を生み出し、権力を守ることに必死な組織。読んでいて心底がっかりしたし怒りも覚えた。
しかし、なぜここまで強情に犯人を決めつけ冤罪事件が起こったのだろうか?
無実の人を犯人だと思い込み無期懲役までもっていったパワーとは何なのか?
罪悪感はないのか?
警察や司法はそんな組織だった。で終わりなのか?ちょっとした疑問は残っていたが、最近みたTEDでヒントをもらえた。
間違っているのに正しいと感じるのはなぜなのか
詳しくはサイトの動画を見てほしいが、
・兵士のマインドセット
・斥候のマインドセット
2つのマインドセットタイプに別けることができる。
両方のマインドセットを説明するためにある事件を例にしている。
ドレフュス事件だ。
この2つのマインドセットの 違いを見るために 19世紀フランスの出来事を 取り上げましょう。この一見何でもない紙切れが 歴史上の大のスキャンダルを 引き起こすことになりました。フランス軍参謀部の将校が 1894年に発見しました。 破って屑籠に 捨てられていましたが 繋ぎ合わせてみたところ 軍の機密をドイツ側に 流している者が 仲間の中にいると 分かりました。
大々的な捜査が行われ 嫌疑は速やかに この人物 アルフレド・ドレフュスに 向けられました。立派な経歴で 過去に犯罪歴はなく スパイをする動機は 見当たりませんでした。しかしドレフュスは軍の参謀部で 唯一のユダヤ人将校でした。
あいにくと当時のフランス軍には 強い反ユダヤの傾向がありました。
ドレフュスの筆跡が 件のメモと照合され 一致するとの判断が 下されました。外部の筆跡鑑定家によると 一致は不確かでしたが そんなのは問題じゃありません。
スパイ行為の証拠を探して ドレフュスの部屋を捜査し 書類を調べ上げましたが 何も出てきませんでした。 それで彼らは疑いを 一層深めただけでなく ずる賢いやつだという 見方をしました 何しろ見つかる前にすべての証拠を 隠しおおせたのですから。
それから彼らは 罪を裏付けるものがないか 彼の生い立ちも調べました。 昔の教師にあたって 彼が外国語を学んでいたことを 知りました 。後に外国政府と 陰謀を企てようとしていたことを 明白に示しています 。教師はまた ドレフュスが優れた記憶力の 持ち主として知られていたことも話しました 。
まったくもって疑わしいですよね? スパイともなれば多くのことを 記憶する必要がありますから。
事件は裁判に付され ドレフュスは有罪になりました 。彼らはドレフュスを 広場に引き立てていくと 儀式的に彼の記章を 制服からはぎ取り 剣を真っ二つに折りました。
これは「ドレフュスの官位剥奪」と 呼ばれています 。
そして南米の沿岸にある 「悪魔島」 という いかにもふさわしい名前の 不毛な島で 終身刑に処すとの 判決が下されました。 その島に送られたドレフュスは 日々を孤独に過ごし 無実を証明できるよう 再審を求める請願の手紙を フランス政府に 何度も書きました。 しかし政府側は この件はもう 決着がついたものと思っていました
上記が事件の内容だが、「殺人犯はそこにいる」や「潔白」にそっくりじゃん!と見ながら思った。
捜査の仕方も犯人ありきで動き、絶対に有罪にするパワーがそっくりすぎる。
ドレフュスの行動全てがスパイのための動機づけになっている。
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「殺人犯はそこにいる」でも、菅家さんはロリコンのアダルトビデオを大量に持っていると警察は発表した。
これも決めてになったのかわからないが印象は大きく菅谷さん不利になる。
しかし、実際にはロリコンのアダルトビデオなど持ってなく、巨乳物のアダルトビデオだったのだ。
いったい警察が発表したロリコンのアダルトビデオは何なのか??
事実を捻じ曲げてでも菅谷さんを犯人にしたいのはなぜか?
私にとってドレフュス事件が 興味深いのは なぜ彼らがそうも ドレフュスの有罪を 確信していたのか? ということです。ドレフュスは意図的に はめられたのでは — と思うかもしれませんが 歴史家によると そうではありません。 私たちの知る限り 当時の役人たちはドレフュスの有罪は確かだと 純粋に信じていたんです 。不思議に思いますよね ?そのような微々たる証拠で 有罪だと思い込む人間の心理とは 何なのでしょう?
これは科学者が「動機付けられた推論」と 呼んでいるものの例です。意識していない 動機や願望や恐怖が 情報の解釈に影響を及ぼす — という現象です。 ある情報や考えに対して 私たちは味方のように感じ それを勝たせたい 守りたいと思います。 別の情報や考えに対しては 敵のように感じ 叩き潰したいと思います 。
だから私はこの動機付けられた推論を 「兵士のマインドセット」と呼んでいます
「殺人犯はそこにいる」の警察も「動機つけられた推論」によって菅谷さんが犯人だと確信し、「兵士のマインドセット」になっていると考えられる。ってかTEDを見ながらそうだとしか思えなくなった。
しかも無意識らしい。自分では客観的で公平だと思いながら無実の人の人生を台無しにしている。
じゃあ「斥候のマインドセット」とはどうなのか?
どちらのアイデアを勝たせよう というのではなく 本当の姿を可能な限り 正確に素直に見ようとする
自らの偏見やバイアスや 動機をうち破って あたう限り客観的に 事実や証拠を 見ることができるのか?
答えは感情にあります。兵士のマインドセットが 防衛本能や部族意識のような感情に 根源を持つのと同様に 斥候のマインドセットもまた 別のある感情に 根ざしています 。
斥候というのは 好奇心が強く 新しいことを知る喜びや パズルを解きたいという欲求が 勝っている傾向があります。 何か予想に反するものに直面すると 興味を惹かれるのです 。
斥候はまた違った 価値観を持っています 。自分の思いこみが正しいのか 試すのは良いことであり 考えを変えることを 弱さとは思っていません 。そして何より斥候は 自分がしっかりしています 。
自分の人間としての価値を 何か特定の事柄で正しいか間違っているかと 結びつけて考えません。
そのため 死刑は 有効だと思っていたけど そうでないことを研究が 示していたとしたら 「どうも自分の考えは間違っていたようだけど だから自分が馬鹿ってわけじゃない」と考えます
まさに清水記者のような人だ。清水記者なら斥候のマインドセットがぴったり当てはまる。だからこそ「殺人犯はそこにいる」で真犯人まで突き止めたのだ!
僕も偏見やバイアス、動機に負けずに客観的なりたいが、なかなかそうもいかない。好きな方を応援してしまうし、自分の考えが間違ってるはずがないと動いてしまう。
間違っているのに正しいと感じるのはなぜなのか
興味がある方は見て欲しい。
そして見た後にもう一回「殺人犯はそこにいる」や「潔白」を読むと考え方が変わるかもしれない。
殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―(新潮文庫)
- 作者: 清水潔
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