タコの卵

どこまで我慢するのが身近な恐怖なのか

検察が正義の味方だと思ってたの?小説「潔白」が書く検察の闇が怖すぎる!作者:青木俊

もし身に覚えがない罪で逮捕され犯罪者になり刑務所に入れられたらどうやって潔白を証明したらいいのだろうか?

裁判で死刑判決が出たら絶対死刑になるのだろうか?

「冤罪死刑」だ!と主張して控訴しても再審はできるのか?

 

権力が決めた死刑は何があっても死刑。警察や検察、裁判官の判断に誤りは絶対にない。無罪の人間もいとも簡単に有罪にして死刑にもできる。

映画やテレビドラマに出てくる正義の検察なんていない。

検察庁とは

検察庁はこの国の法治の要だ。
冤罪死刑を認めることは、検察を貶め、法治の危機を招来する。
自分も検察の一員なのだ。その権威と権限は、何を置いても守り抜かねばならない

このような考え方をもっている集団なのだ。人より面子を優先させる恐ろしい組織。

本書「潔白」は冤罪事件を「絶対に再審させないマン」になった検察と 、父の無念を晴らすためにどんな手を使ってでも「絶対に再審させるマン」になった娘の壮絶な物語である。

 

潔白 (幻冬舎単行本)

潔白 (幻冬舎単行本)

 

 

真実は、ただひとつ。

偽造、隠蔽、証拠の廃棄……
こんな非道が国家のやり口か!?
司法権力に、個人は抗えるかーー骨太ミステリ小説。

札幌地検に激震が走った。30年前に小樽で発生した母娘
惨殺事件に前代未聞の再審請求審が起こされたのである。
被告の死刑はすでに執行済みだ。もし冤罪なら、国家は無
実の人間を殺めたことになってしまう。司法の威信を賭けた
攻防に、曰く付きエース検事が指名された。

 

内容紹介にも書かれているが、

 

被告の死刑はすでに執行済みだ。もし冤罪なら、国家は無実の人間を殺めたことになってしまう。司法の威信を賭けた
攻防に、曰く付きエース検事が指名された。

 

この文が非常に怖い。

普通、何か間違いを犯したら謝る。謝らないといけない。しかし国家及び司法は威信を賭けて絶対に謝ろうとしない。あの判決は誤りでした。と謝れないのだ。

日本の有罪率99.9%。いちど刑事事件として裁判になれば99.9%有罪になってしまうのだ。この数字が主張しているのは、検察は絶対に有罪にできるってこと。これって非常に怖いと思わない?逆に有罪にならない事件は扱わないかもしれない。

 

「潔白」は1989年7月に起こった「三村事件」と呼ばれる殺人事件を軸にスタートする。

小樽市のスナックで母子が絞殺死体で発見された。捜査は難航し思うように犯人の手がかりが得られなかったが、当時としては画期的な「MCT118」と呼ばれる最新のDNA鑑定が決め手となり、三村孝雄が逮捕された。三村は一貫して無罪を主張したが判決は死刑。すぐさま再審請求の準備を勧めていたが、判決からわずか2年で異例の死刑執行となった。

三村事件も忘れ去られた現代に突如として再審請求のニュースが舞い込んでくる。

死刑になった再審など検察も裁判所も認めるわけにはいかないし再審の可能性は0に等しいが、弁護側は「爆弾」があるとして検察に揺さぶりをかけていく。

いったい「爆弾」とはなんなのか?本当に無罪の事件だったのか?再審請求はできるのか?

 

という内容になっている。

とにかく検察が悪どい。本当に悪い。絵に描いたような悪代官。

本当にここまでやるのか??人としてどうなの?検察はみんな悪いの?って疑問に思うが「裁判所の正体:法服を着た役人たち」を読めばあながち間違ってないことに気づく。

 

裁判所の正体―法服を着た役人たち―

裁判所の正体―法服を着た役人たち―

 

 とにかく検察の世界観は絶対正義。検察と裁判所が全て正しいしそれが司法としての絶対だと思っている。これはマジだ。

裁判になったら良い裁判官が自分の無罪をわかってくれる!

なんて思ってしまうが、まったくそのようなことはない。裁判官は既に有罪と決めてから裁判所に入っているのだ。嘘だろ!って思う人は裁判所の正体を読んで欲しい。

 

「潔白」は一度読むと明日仕事なのに読み切ってしまって次の日寝不足になってしまう罪な本だ。「潔白」自体が寝不足罪として訴えられるべきだろう。作者は冤罪だ!と主張するだろうが。

 

それぐらい面白い。圧倒的に面白い。

手に汗握るしラストのあっと驚く展開は息を呑んでしまう。

 

前作「尖閣ゲーム」を超えたと僕は思う。それぐらい面白いので読んでない人は是非とも読んで欲しい。

また、「潔白」をより楽しんでもらうために文庫Xとしてフィーバーを巻き起こした「殺人犯はそこにいる」を読んで欲しい。なぜなら「潔白」の中で「殺人犯はそこにいるが」でてくるからだ。こうなってくると小説なのか事実なのかこんがらがってくる面白さがある。

 

殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―(新潮文庫)
 

 検察や裁判所は法治の要だ。

その法治の要が牙を向いて襲ってきたら誰が法治を守るのか?

冤罪を認めない法治とは?司法制度は誰のための制度なのか?

面白すぎる小説「潔白」を読んで考えてみて欲しい。

この小説はもしかすると実際に起こっている可能性があるかもしれない……。

 

潔白 (幻冬舎単行本)

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尖閣ゲーム (幻冬舎単行本)

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