スーパーからの帰りに公園で一人ベンチに座り結構な声で空中会話している人がいた。
空中会話とは虚空に向かって一人で話しかけている風に見える行為だ。
まぁまぁ大きい声だったのでドキっとしてしまった。
時刻は午後23時あたりなので周りは暗い。一瞬にして緊張感がランニングゾーンを走る。
僕は昔、独り言を喋る包丁を持ったおじさんに追いかけられた過去があるので空中会話系には人一倍敏感なのだ。
そんな過去があるのでベンチに座って何か喋ってる人には失礼だが、何が起こっても対応出来るように脳内シミュレーションする。
1 ベンチから立ち上がり刃物を出して追いかけてくる
恐らく一番やばい。
自慢じゃないが僕は足が学校で一二を争うぐらい遅い。
なのでもしかすると追いつかれる可能性もある。なので距離が大事だ。足が遅い事を自覚しているので距離がある程度離れていれば助かる可能性もそれだけ増える。
体を鍛えているが刃物を持った相手と戦う為に鍛えてないので戦う選択肢は一切ない。絶対に危ない。逃げ切れたらとりあえずセーフ。手に持っている買い物袋を捨て去って逃げまくるのが一番いい。
家に帰るためにはベンチの前を通らないと行けない零距離を強制させられている。
ベンチの前で刃物を出されたらアウトだ。ヨーイドンだと僕に分が悪い。
だからある程度助走をつけてベンチ前を走り去る必要がある。助走の勢いがあるためある程度のアドバンテージがあるだろう。あるといいな……。
過去の包丁おじさんから逃げ切れたのは奇跡中の奇跡だった。奇跡は二度と起きないから奇跡だ。奇跡だよりは死を招く。
あくまで最悪の状況なので刃物を出されないとわからないが、なるべく刃物は公園で出してほしくない。刃物は公園で使うようにはできてないのだ。
一般男性に覇王翔吼拳は使えないのもわかってほしい。
2 僕にしか見えてない幽霊
可能性としては一番薄いが、ある意味刃物を持った相手以上のヤバさがある。
僕が怖い幽霊話に壁に向かって一人でブツブツ会話している幽霊話がある。
夜の公園。成人男性一人。虚空に話す人。幽霊でしょう。
グラップラー刃牙の超実戦流柔術を磨き上げた本部以蔵ならいいかねん。
だいたい夜の公園にいる幽霊は関わった人を不幸にしがちだ。幸福には間違ってもしない。出現するだけで怖いのに認知されると家まで付いてくるオプションまである。
幽霊はやばい。見たことないけど、これが初めて見る幽霊かもしれない。
夜の公園で虚空に向かって話し続ける人が幽霊じゃなかったらヤバイ人でしょ!
ヤバイ人と幽霊。どっちが怖いかで言えばどっちも怖い。
血の味を覚えたカバ VS ハブクラゲのスムージーぐらい危険性がある。
ドウシマショウ……。となるのはまだ早い。僕にはとっておきがあるのだ。
不動明王真言
映画「カルト」で霊能者が除霊で唱えまくってた真言だ。
この真言。スラスラいえます。映画「カルト」で覚えました。
この真言を唱えたらなんとかなるだろうって気持ちは強い。
実際にお祓いの現場で使われそうだし、不動明王といえば名前からして強い。もっと強いには維摩居士だが、維摩経は全然スラスラ言えない……。言えたらほとんど無敵に強いと思う。
詩篇23篇は諦めた時にいいがちなので今は言うときじゃない。どっちかというと幽霊に呪い殺されるのが確定した時に言う。
そして僕は夢の中で幽霊に勝ちそうだったこともある。
実質勝利と言っても間違いない。
膝蹴りを何度も食らわし何度もアゴを殴打した。
考えきれるラッシュを煉獄ばりにキメまくって立ち上がる人がいたらお手上げだ。
しかも不動明王真言を唱えながら殴れば威力はアップするだろう。
ヤバイ人より幽霊の方が対応が楽かもしれん。
あくまで殴れる事が前提になっているが、殴れないor何らかの理由で動けないフォースをもった幽霊なら……。
圧倒的な現実をしっかりと保つ必要がある。
幽霊に勝つとか負けるとかは下の下。
圧倒的な現実を持つことで戦うことすらできなくなる。
圧倒的な現実と言えば代表格は霊長類最強の男「アレキサンダー・カレリン」だろう。
カレリンズ・リフトは日本語に訳すと=現実 になることは有名だ。
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常日頃からオカルト等に惑わされずに圧倒的な現実をもっていれば幽霊なんか遭遇もできないのだ。ホラーハウスに引っ越しても一人だけ生き残ってしまう。
幽霊は認識しなければいないのだ。
この現象に近い映画が「クロユリ団地」だったりする。
統合失調症の主人公は幻覚と幽霊の区別がつくのだろうか?そして幽霊さえも幻覚にしてしまえば???
興味があれば是非とも見て欲しい。
刃物と幽霊どっちなのか
ただ、虚空に向かってつぶやくならTwitterしている状態とさほど変わらないので危険性は少ない。そのままササッと通り過ぎればいいだけだ。変な人もいるもんだ。とかも思う必要もない。
刃物を持った相手なら逃げる。
幽霊なら戦う。
この二択だけ意識していれば大丈夫。覚悟は人を幸福にする。認識する事が大事。
刃物なら恐らく負ける。足も遅いし。嫌だ。
幽霊なら恐らく勝てる。勝てるが無事ではすまないだろう。幽霊だって意地がある。夜の公園で獲物を待っているタイプだ。性格は悪い。正々堂々とUNOで勝負して欲しい。
どっち…どっち……。
こっちが挙動不審者と間違われかねない動きで公園を歩く。
心拍数はマックス。命の花。咲かせて思いっきり~とか心の中でつぶやく。思考回路はショート寸前だ。
身なりが認識できる距離に近づいた。僕は目が良すぎて白眼を使えるので状況確認に強い。これで浮浪者風な身なりや清潔感がなかったらとっても失礼だが、危ない人か刃物の可能性が高い。綺麗で、、、綺麗でいてくれ~~!!!
清潔感あるぅ!
身なりは普通以上に……いや。ってかオシャレだ。町中で見かけるオシャレな服装だ。
これは幽霊の可能性が高まってきたと言っても過言ではない。
なぜならば、幽霊と言うのはアンバランスさが大事だからだ。
人の認知を歪め常識を狂わすのが幽霊。
一見有り得そうもない状況に持っていくのが幽霊の固有スキル。
不味いなぁ……。身なりが綺麗な幽霊は強い可能性が高い。怪我してないからだ。怪我して死んだ幽霊は怪我の影響か、ウィークポイントが見える。しかし、健康体の幽霊は見えない。スタンド「サバイバー」でも発動できれば別だが…。
みんなも覚えていて欲しい。身なりが綺麗な幽霊程強い。スレイヤーズでも高位の魔族は人間の真似するって書いてた。
と、同時に勝てそうな予感もした。
なぜなら、圧倒的に体格差があったからだ。僕と比べると幽霊は小さい。
格闘技において体重差はデカイ。幽霊の対決においても体重差はデカイのだ。
幽霊と戦うのに体重???
とか思う人もいるかもしれないが、間違いなく大柄の方が良い。理由は食べ放題の場所に幽霊が現れないからだ。僕の勝手な経験上だが、食べ放題のお店に幽霊がでるって話を聞いたことがない。なぜなら食べ放題の行為そのものが除霊になっている。
食べる行為は除霊。ならいっぱい食べる人は??
動く大型除霊だ。
にやぁ……。一人夜の公園で笑う。自慢じゃあないがこちとら大食いの大柄。
ベンチに座っている幽霊はどう見ても
「マクドナルドのポテト食べきれないからあげるよー」
って言うタイプの優しそうな体型だ。
勝てる。苦しい戦いになるかもしれないが”勝てる”と思った。
公園に涼しい風がふく。幽霊と初めて戦うには似合いの場所だ。なぜならこの公園。隣は霊園になっているのだ。墓ばかり。幽霊がでるにはお膳立てされすぎている。
思いっきりミドルキック。
思いっきりミドルキック。
思いっきりミドルキック。
幽霊は思考回路を読み取る能力がありがちだからこそ思い続ける。
わかってて思う。幽霊に精神的に勝つためだ。ミドルキックがくるとわかってると距離をとる。その距離を取る行為が精神的優位を確定させる。あいての幽霊はさらに小さくなるだろう。こっちはますます尊大に不敵にデカくなる。
へぇ……幽霊なのにミドルキック避けちゃうんだぁ。
生意気なショタが首を出してくる。
一歩一歩とベンチに近づく。
見れば見るほど普通に町中で見かける人だ。いったいこんな人がなぜ幽霊に。わからんが未練があるのか幽霊の才能があったのか。余計な事を考える必要はない。
もうすぐベンチ。幽霊はイヤホンをしていた。
幽霊も音楽聞くのか。聞いていてもおかしくないが、これから聞くのは自分の悲鳴だがな……クククとエロゲの厨二病みたいなセリフを思う。
もう一歩近づく。
イヤホンしながら楽しそうに会話している。
会話か。会話。ただ空中に向かって主張しているわけではないらしい。
僕には見えない幽霊か。2人相手だと厳しいな。作戦を組み立てる必要がありそうだ。
歩く。近づく。
スマホ片手に楽しそうだ。
おかしい。幽霊っぽくない。
歩く。近づく。
あっ……。
もしかして。もしかすると。
幽霊だと思っていた人はイヤホンマイクで通話してるんじゃ……。
途端に顔が真っ赤になる。
勝手に人を幽霊呼ばわりしといて実のところは、最新機器で通話している現代人だったのだ。それをわからず人様を幽霊なんて……。恥ずかしい。火が出るほど恥ずかしい。
うおおおおおおおおお。
すみませんとあやまりたい気持ちでいっぱいだが、勝手に人にあやまってきたらそれこそ幽霊以上にヤバイのでそそくさとベンチを通り過ぎよう。
いやー。勝手に決めつけるのって酷い。やばい。ヤバイのは僕。
ごめんなさい。イヤホンマイクねー。そうだよな。必ずしも耳にスマートフォン当てる必要なんて今時ないもんな。
一人勝手に疑心暗鬼になって一人勝手に解決した僕はスタスタ公園を歩く。
人を勝手に幽霊にするなんて最低よ。脳内で罪悪感が走りまくる。
うへぇ。早く家に買えってご飯作って眠ろう。幽霊とかいるわけないし。
ベンチを通り過ぎる。
楽しそうに話している。
何を思ったのかベンチを通り過ぎて振り返る。邪な気持ちで顔とか見たかったのかもしれない。今となってはなんとなく振り返っただけにも思える。
そのイヤホンマイクはスマートフォンに刺さっていなかった。
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