シリーズ化している世界の名著感想だが、ついに2巻に到達した。
2巻は仏教の歴史が進み色々な解釈から生まれた最強の大乗仏教がメインになっている。なにが最強って?
難易度
がやばい。
これまでのバラモン教や原始仏典は物語とかあったりして比較的読める。全然読めないけど、読めるんだけど……大乗仏教はストーリーがちょっと。後はめちゃくちゃ哲学的な話が多い。めっちゃ意味わからん。頭が沸騰しそうだよ~って状態になったの初めて過ぎる。これ大乗仏教とか言って難しい言葉並べまくって相手を煙にまこうとしてるんじゃないの!?とかなっちゃうよね。とにかく難しい。でも全部読んだので覚えてる範囲、わかる所だけ感想かいていきたい。逆に読めば読むほど頭悪くなる可能性がある名書だ。
あと、よく台所と火と煙の喩え話がでてくる。火のないところに煙は立たないってことわざの超元祖っぽい。
そして解説書じゃなくて原典ばっかり読んでるから頭解脱しそう。
目次
金剛般若経
般若経は般若心経で有名だから聞いたことあるけど、金剛とつくと強そうに思える。ありとあらゆる物を断ち切る金剛らしい。結局強そう。
内容はブッダと弟子のスブーティが会話して素晴らしい教えを聞く話。
これがとんち合戦みたいな内容で意外と楽しい。
あるからない。ないからある。すなわち「空」である。みたいな。
究極の教えがあるとすると、究極の教えはないことになる。「する」とか「しない」から離れた状態が究極状態である。だから、究極状態なんてものは「ない」のである。
上記の教えをみんなに教えるのが超素晴らしいことなんだよ。広めまくって欲しい。この素晴らしい教えを。名前は完璧なる知とでも名付けようかな。でも完璧な知なんて存在しないよね??だから教えなんてないんだよ!!!思う事をやめろ!!
悟りをひらいた人がいたとすると、悟りをひらいてないことになるの!
私とか自我を認識するのもやめてほしい!私とかないから!ないからあるから!!
もう全然意味わからん。
教えが高度過ぎてついていけないんだけど。あるない合戦ヤバすぎ。
これが般若経か……般若心経ってこの内容をお経にしてるんだな。般若心経長いから覚えられないけど、ブッダが言うとおりに受け取るとすると……
般若心経の内容とかにとらわれるのやめーや!!そういうの「ないから」!!!
ゆえに「あるんだよなぁ」。
しにそう。たすけて。
維摩経
みんな大好き超絶超人ヴィマラキールティこと維摩居士が来てくれた!
はっきりいって世界の名著2で1番好きな話。他の話がヤバすぎるのもあるけど、超強いヴィマラキールティが最強すぎて痛快活劇みたいな感じ。
内容は、超金持ちで超頭いい維摩居士が人助けしまくってたけど、最近ちょっと飽きてきて
「仮病したら面白い人が見舞いにきちゃうんじゃ?」
って思ったからさあ大変。あの維摩居士が病気!?これは見舞いにと世尊は弟子に見舞いに行ってこいとお願いするが、全弟子が超嫌がる。弟子がいかないので菩薩にもお願いするが菩薩も断る!!最後に文殊菩薩が超しぶしぶ行くんだけど、みんなが見舞いに行きたがらない理由とは!?そして文殊菩薩ですら嫌がる維摩居士とは!?謎が謎をよぶ超展開に空いた口がふさがらない!維摩経を心して読んでくれ!
維摩居士が凄いのよ。
弟子や菩薩が見舞いに行きたがらない理由が
昔、維摩居士に言いくるめられてぐぬぬってなったから
って話。維摩居士が最強すぎて世尊の弟子全論破。しまいには菩薩だよ?あの菩薩。
弥勒菩薩(マイトレーヤ)でさえ維摩居士の見舞いはちょっと……。ってなるのがやばい。最強超人として描かれる維摩居士が凄い。
そして見舞いに行ってからがやばい。
エベレスト山ぐらいデカイ山の4583972628倍ぐらい大きい椅子に座ってる仏たちを自分の部屋に召喚したり、みんなを匂いだけで生活してる超良い世界に一瞬で連れて行ったり。超能力中の超能力。発想のスケールで負けまくる。物浮かすとかテレポートとかそんなもんじゃないぞ!?!?しぬほど超能力。
それを使いまくる。菩薩との対談で超能力使いまくって菩薩も超めんどくさそう。
見舞い終わるとみんなで世尊の所いこうぜ!ってノリになってついに
維摩居士VS世尊
がはじまってしまうのか!?
気になる人は維摩経をチェックだ!
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論争の超越
ご存知みんな大好きナーガールジュナこと龍樹がでてくるぞ!
仏教歴史の中で仏陀の次にやばいのが龍樹だ。
大乗仏教を体系化し、「空」の理論を「中論」で大成させた。
あるないとんち合戦を論理的に完成させた男。世界の名著2では龍樹の名前が頻繁にでてくる。マジで凄い。
ここではアビダルマ論者とディベート合戦みたいなのが行われてる。
その後も全然理解できない話が勢揃い。
明らかなことば
月称ことチャンドラキールティが龍樹の言葉を解説していく話だったはず。
全然いみわからん。でも読む。
知恵のともしび
バラモン教で出てきたアートマンとかダルマとか色々。
とにかく自我がアートマンに一体化してダルマうんぬんかんぬん。
難しすぎる。
存在の分析
『倶舎論』第1章・第2章からなるアビダルマの説一切有部の教義を解説。
このダルマの組織図みて理解できる人がいたら頼むから教えてくれ。
ダルマ(法)------ダルマ
だるまぁってなる。
中正と両極端との弁別
有相と無相の説明及び、「虚妄なる分別」の話。
残穢でも「虚妄」って説明がでてたね。それの原点なんでしょう。
ハッキリとわかった事はわからんって事。
「或るものが或る場所にないとき、後者(すなわち或る場所)は、前者(すなわち或るもの)について空である、というように如実に観察する。他方また、(右のように空であると否定されたのちにも)なお(否定されえないで)なんらか余ったものがここにあるならば、それはいまや実在なのであると如実に知る」
なるほど~。なるほど~。なるほどぉ!!!!!
二十詩篇の唯識論
世親ことヴァスバンドゥの唯識論。
唯識説の根本は「諸法(すべての存在現象)は識にほかならない」という説である。
つまり全部表象で夢の中なのに現実にあると思ってる話だったような気がする。
よくわからない事がよくわかった。
認識と論理
認識方法について語っている。
「たとえ事実としては、(認識した対象とは)別個なものが獲得されるとはいえ、わたくしは見たものと同じものを得た、という形の同一性の判断は生じるのであるから、この場合にも認識したものを獲得したと言いうるのである。」
なに言ってんだこいつってなりかねない。
五種の心作用もやばい。
これが理解できているのならあらゆる困難にも打ち勝てそうな凄みがある。
まとめ
これで世界の名著2大乗仏典の感想が終わった。
正直いってまじめに仏教を勉強したい人なら是非とも読むべき一冊に間違いない。
仏教哲学の骨太な所を教えてくれる。ってか仏教の論理学凄すぎ。
しかも、日本で大乗仏典がわかったのはここ最近らしい。100年ぐらいだとか。
それまではサンスクリット語や漢文でしか伝わってなかったので日本語訳されてなかったとか。なので、日本からしたら新しい事の発見だろう。
かなり哲学書めいた内容なので読むのに気合入れる必要があるけど、読み終わった後の達成感は異常な一冊。
超絶難しい本に飢えている人だけにおすすめだ。